リジッドモデルには、ヴィンテージのデッドストック同様に、フラッシャーとギャランティーチケットが付く。LVCの魅力の一つ。
LVCの1947年モデルは、細身のストレートで裾まであまりテーパードしないシルエットに仕上がっている。レングスが長めに採られていることもあるが、写真で見ても細身に見える。
革パッチ
ヴィンテージと同じようなもの(鹿革)でなく牛革のパッチで、縮むことはほとんどないと予想される。
フラッシャー
フォントの違いはあるが、フラッシャーのデザインや表記は、ヴィンテージのものとほぼ同じ。ただ、一番下の段が、ヴィンテージでは"Copyright 1945. L.S. & Co. S.F."となっているのが"Copyrighted 1947 L.S. & Co. S.F."に変わっている。
ギャラティーチケット
普通の紙ではなく、片面タブのヴィンテージと同様にオイルドクロスで作られている。ただし、一番上の"FOR OVER ○○ YEARS"の年数が、片面タブのヴィンテージでは1872年を起点として"70"か"80"となっているが、LVCでは1853年を起点として"90"となっている。また、チケット内も、片面タブ時代の表記とXX後期の時代の表記が組み合わされたような内容に変えられている。
タグ
裏面には、1947モデルの説明(細身のストレート)と"Cone Mills"の赤耳デニムを使用していることなどが記述されている。
タグ
もう一つコーンデニム社の生地で作られていることを示すタグも付けられている。
内タグ
生産国はアメリカだが、リーバイスの自社工場はすでに廃止されており、アメリカ国内の委託工場で生産されている。
バックポケット
バックポケットは、ヴィンテージの片面タブと比べるとやや縦長だが、糊を落として縮ませないと比較は難しいところである。アーキュエイトステッチは、イエロー。片面タブは、オールイエローのものなどイエローステッチが多用されているものが多いが、この1947モデルでは、目に見えるステッチでは、イエローが使われているのはアーキュエイトステッチのみである。
バックポケット裏
シングルステッチ。この辺りは、ヴィンテージの仕様に従っている。なお、左のバックポケットには、1947モデルを説明した顧客向けの手紙が入っている。
赤タブ
"LEVI'S"が片側のみに刺繍されたいわゆる片面タブ。レーヨン製であれば、洗いを重ねることにより丸まっていくようになる。
ベルトループ(センター)
センターの縫い目に沿って付けられたベルトループで、ヴィンテージの片面タブの仕様を再現している。また、約1.5センチの太めのベルトループもヴィンテージの仕様に沿ったものになっている。ただし、ベルトループは後付けで、ウエストベルトと合わせて取り付けられるいわゆるバンザイ付けにはなっていない。また、上下両端のカンヌキも、ヴィンテージではベルトループを完全に横切るように施されるが、LVCでは真ん中部分のみになっている。
隠しリベット
私が所有している片面タブ時代の隠しリベットは、いずれもリベットの縁が少し削られて若干の滑らかになっている反面、LVCでは縁も鋭角である。また、ヴィンテージでは既にメッキされた鉄が用いられていたが、LVCでは磁石の反応がないため鉄は用いられていないと思われる。以上のような違いはあるが、見た目はよく再現できていると思う。
トップボタン
見た目は、刻印の字がほんの少し大きいという以外では、ヴィンテージとの違いはなく、ヴィンテージのものに多く見られるような表面が白っぽい錆止め加工が再現されている。ヴィンテージと異なり、磁石の反応はない。V字ステッチはきれいに仕上げられているが、かえってヴィンテージ感が損なわれていると感じる人もいるかもしれない。
フロントボタン
片面タブであれば、ウエスト28インチのものは、トップボタンを含めてボタンは3つであるが、LVCではボタン数は4つである。今の感覚からすると、ヴィンテージに合わせてしまうと欠陥品とみられてしまうのかもしれない。
フライボタン
トップボタンと同じくヴィンテージと比べて若干字が大きいが、よく見ないと分からないであろうという程度の差。トップボタンとおなしく錆止め加工が再現されている。なお、トップボタンと同じく磁石の反応はない。
トップボタン裏
トップボタン裏の刻印は、"4420"。なお、ウエストベルト上のステッチは、ヴィンテージと同じくシングルステッチになっている。
リベット
戦前に使われていたリベットと同じく"o"が小文字になったものが使われているが、ヴィンテージの片面タブでは小文字"o"のリベットは使われていることはほとんどないと思われる。磁石の反応はない。
リベット裏
ヴィンテージと比べると、文字が多少ぼやけた感じになっているが、リベットの表ほどのはっきりとした違いはない。こちらも磁石の反応はない。
サイドステッチ
初期から中期の片面タブではサイドステッチが長いことが特徴となっているが、LVCでもサイドステッチは長くとられている。ただし、片面タブの初期モデルほどは長くはない。
コインポケット
下に向かって少し幅が狭くなっている。コインポケット・向こう布ともに生地は横使い。
コインポケット裏
コインポケット裏には、耳の部分が使われている。片面タブの時代であっても、ヴィンテージでは必ずしも耳の部分が使われているわけではないが、復刻の仕様としてはこの方が分かりやすいであろう。
股部分
ヴィンテージと同じくカンヌキ留めはされていない。U字ステッチは、ヴィンテージではかなり太い糸が使われているが、LVCではそこまでは再現されていない。
アウトシーム・セルビッジ
かなり鮮やかな糸の赤耳。裾はもちろんチェーンステッチだが、あえて言えば、ヴィンテージでは裏糸にイエローが使われることが多いが、LVCでは裏糸もオレンジである。
生地
生地は、コーンデニム社のホワイトオーク工場製。公称のオンス数は、リジッドの状態で12.25オンス、洗って縮ませた後は14オンスとされている。経糸の糊付けをしっかりとした上で織られているのか、リジッドの段階では毛羽立ちがまるでなく素材感に乏しい状態に見えてしまうが、糊を落とせば本来の表情が見えてくる。スラブ感は適度に感じられるが、糊の付いた状態ではさほど強く感じられない。ネップは、さほど多くはないがところどころに小さなものが見つけられる。色は、ややグレーがかかった濃紺。他のコーンデニム製のLVCの生地で経験済みだが、穿きこんでくるとかなりヴィンテージに近い青が姿を現してくるので色には期待したいところである。