リーバイスが株式公開をした1971年、赤タブの表記が"LEVI'S"(Big E)から"Levi's"(small e)に変更された(実際には、数年間の移行期があり、赤タブはBig Eとsmall eが混在する。)。ここで紹介するのは、small eの赤タブの付いた1976年製造の「66前期」モデルのデッドストックである。はっきりとした縦落ちと、明るい青の色あいが特徴といわれる。66前期モデルは、バックポケットの裏がシングルステッチで縫われているかどうかで判別されることから、"66 single"とも呼ばれる。1970年台後半は、ジーンズの需要が爆発的に増加したこと、当時のオイルショックによる合成インディゴの確保が困難になったこと、アジアを始めとする外国製生地の輸入増大により価格競争が激化したことなどから、合成インディゴの使用量低減のためのサルファー染料による下染め、オープンエンド紡績の導入、革新織機の導入など、デニム生産が段階的に大きく変化していった時期であり、66前期・後期、赤耳モデルは、それらの段階的な変化を見て取ることができるという点では、興味深いものがある。また、66モデルは、毛羽立ちが激しいともよく言われるが、先述のジーンズの需要の増大と輸送手段の進歩により、綿花の供給元がミシシッピデルタからテキサスに移行していったことが影響しているようである。
フラッシャー
○C1966の著作権表記が下にある。当然にデザインは、1966年に著作権取得されたBIG Eのフラッシャーと同じで、"Levi's"のロゴの"e"は小文字だが、赤タブを模したイラストの"E"は大文字である。"○C1966"が66モデルの命名の由来であるとはいえ、このフラッシャーは、BIG Eから初期の赤耳までかなり長期間使用されていたものであり、予備知識がない人にとっては、分かりにくい話になってしまっている。
バックポケット
正方形に近い形。Big Eと同じく下に向かって幅が狭くなっている。Big Eと比べると、アーキュエイトステッチの形は、左右で均等になっている。アーキュエイトステッチは、オレンジステッチ。
バックポケット裏
66モデルで前期と後期を判別する決め手となるのが、バックポケット裏のステッチ。シングルステッチだと前期、チェーンステッチだと後期になる。前期と後期で色落ちの傾向が違うため、区別されている。
アウトシーム
Big Eだとここがシングルステッチだが、66からチェーンステッチになる。紙パッチが欠損しているBig Eの赤タブが付いたもの(66 Big E)や赤タブすらも欠損しているものをBig Eか66モデルかに判別する際に有用である。
表記サイズ | ウエスト |
ヒップ | 前股上 | 後股上 | ワタリ | 股下 | 裾幅 | 総丈 |
W28/L31 | 74 | 102 | 28.5 | 37.5 | 27.5 | 75 | 20.5 | 101.5 |