日本のツースリー被服のブランド"BIG FIGHT"の5ポケットジーンズ。「ヒストリー 日本のジーンズ」(日本繊維新聞社)によると備後・備中地区のメーカーであったようである(P53)。製造時期は明確にはわからないが、1970年代辺りかと思われる。この頃の国産デニムには、アメリカ製生地を使用したことを前面にアピールしているものも多いが、ここで紹介するものは、生地産地についてフラッシャーなどに記載がないため、日本製の生地を使用している可能性もある。全体として生地を含めてごくごく真面目に作られたストレートジーンズといった印象である。また、当時の国産ジーンズでは縫製糸に太い糸を多用したものも多いが、これにはそういった特徴が見られず、気軽に穿けるヴィンテージジーンズとして充分に通用するものになっている。

bigfight
フラッシャーとタグが付いたデッドストック。国産のジーンズだとワンウォッシュされているものが多いが、これは洗いがかけられていないようである。
bigfight_前面
この当時の国産ジーンズとしては比較的太めと思われるシルエット。他方で、股上は、国産ジーンズらしくやや浅め。
bigfight_背面
bigfight_紙パッチ

紙パッチ

すでに割れてしまっている紙パッチ。ロット番号、サイズなどがスタンプされている。右上には、「オメト」というスタンプも押されているが意味は不明。紙パッチも合われて、ウエストサイズを記載した紙タグも付けられている。
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フラッシャー

大きめのフラッシャー。ウエスタンハット、デニムジャケット、ブーツカット姿の日本人女性が岩の上でピストルらしきものを持っているという今となってはかなりインパクトのあるフラッシャーである。紙パッチでは、"FIGHT"となっているのが、フラッシャーでは"FIGHIT"となっているのはご愛嬌か。
bigfight_バックポケット

バックポケット

ビッグジョンやビッグストーンと同じく横一文字のステッチ。ポケット上のカンヌキは、Leeのような"X"形になっている。
bigfight_バックポケット裏

バックポケット裏

一つ折りにしてロック処理した上で縫うという省力化した方法で縫われている。あまり他では見ない処理の仕方。
bigfight_トップボタン

トップボタン

"MENS WORLD"という刻印があるトッフボタン。ブランド独自のものではなく汎用のものではないかと思われる。
bigfight_ジッパー

ジッパー

"ARROW"と刻印されたピンロックのジッパーが用いられている。
bigfight_リベット

リベット

LEEのリベットに似た形の無刻印のリベットが用いられている。
bigfight_コインポケット

コインポケット

コインポケットもLEEのような処理。この写真だけ見るとLEEのものと区別ができない。
bigfight_アウトシーム

アウトシーム

ロック処理をした上での折り伏せ縫い。裾はチェーンステッチで、のりの付いた状態ながらも経年の吸湿によってすでにうねりが出始めている。
bigfight_生地

生地

生地は、やや軽めのオンスのものが用いられているのではないかと思われる。70年代前後の生地としては色が濃い。多少は硫化染料が用いられている可能性もあるが、深い青みが感じられ、ヴィンテージとして好感の持てる生地である。スラブ感はさほど強くなく、ネップも多くは見られない。

表記サイズ ウエスト
ヒップ 前股上 後股上 ワタリ 股下 裾幅 総丈
- 69 100 24.5 34 28 81 21.5 104.5